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採用の最大の"崖"は書類選考ではなかった|候補者767人の実データが暴いた3つの意外な事実

2026年7月17日

本記事は、HYREDが採用を支援するある現場の13ヶ月・候補者767人ぶんの選考データを、個人が特定できない形にすべて集計して分析したものです。1社のデータなので「業界全体の法則」ではありませんが、体裁のいい調査レポートには出てこない"生の採用現場"の実像として読んでください。

この記事の結論を先に

採用の改善というと、多くの会社が真っ先に手をつけるのは「書類選考の基準」や「スカウトの母数」です。しかし、私たちが自分たちの支援先の1年分の選考データ767人ぶんを1件残らず数えてみたら、通説とはっきり違う3つの事実が出てきました。

  1. 候補者が最も"抜ける"のは、書類選考ではなく「カジュアル面談」だった
  2. AIにスカウトの適合度をつけさせると、3社に1社超が「満点100点」に張り付く
  3. AIは「合格」と判定しながら、その判断に自信を持っていない

順に、実際の数字で見ていきます。


事実1:最大の"崖"は、書類選考ではなくカジュアル面談だった

選考の各段階について、「その段階まで来た候補者のうち、何%が先へ進めなかったか(脱落率)」を数えると、こうなりました。段階の順番は、実際の選考の動き(データ上の遷移)から確認しています。

選考の段階別「脱落率」=その段階に来た人のうち、先へ進めなかった割合 ① 応募(エントリー) 20.6%来た人 767人 ② 書類選考 34.3%来た人 609人 ③ カジュアル面談 76.5% ④ 一次面接 62.8%※94人と少数 ← 最大の"崖"(400人中306人が脱落)
段階別の脱落率。カジュアル面談は76.5%(400人中306人が脱落)で、書類選考の34.3%の2.2倍。※④一次面接以降は到達人数が少なく参考値。「抜けた」には企業側の見送りと候補者側の辞退の両方を含む。

カジュアル面談まで来た400人のうち、76.5%(306人)が先へ進まなかった――これが最大の発見です。書類選考の脱落率34.3%の、実に2.2倍です。

念のため別の見方でも確かめました。「選考が終わった706人が、どの段階で抜けたか」を人数で数えても、最も多いのはカジュアル面談(288人)で、書類選考(198人)を上回ります。率で見ても、人数で見ても、結論は同じ。採用の勝負が最も大きく動いているのは、書類でも最終面接でもなく、このカジュアル面談だったわけです。

多くの会社は「書類選考の基準が厳しすぎるのでは」「もっと母数を増やさなきゃ」と、選考の"入口"ばかりを気にします。しかし、いちばん人が抜けていたのは、その少し先のカジュアル面談でした。

ここには、日本の採用ならではの事情があります。カジュアル面談は、企業が候補者を「見極める」場であると同時に、候補者が「この会社を本気で受けるか」を決める場でもあります。つまり、この76.5%には、企業に見送られた人と、候補者自身が「やっぱり違う」と離れた人の両方が含まれます。どちらにせよ、打ち手はシンプルです。カジュアル面談を「見極めの場」だと思って淡々とこなしている会社は、最大の漏れ口を放置していることになります。ここを、自社の魅力を伝え、候補者の不安を解く"口説きの場"として設計し直す。一番の伸びしろは、ここにあります。


事実2:AIスカウトの「100点病」――3社に1社超が満点に張り付く

次は、AIにスカウト候補の「適合度スコア(この人が求人にどれだけ合うか)」をつけさせたデータです。スコアがついた1,358件のうち、504件(37.1%)が満点の100点でした。中央値は68点、平均は64点です。

AIがつけたスカウト適合度スコア(100点満点・スコア付き1,358件) 37.1% が"満点(100点)"に張り付く 504 / 1,358件が100点 ・ 中央値 68点 ・ 平均 64点 ■ 満点(100点)の37.1%ぶん。スコアが上に張り付き、優劣をつけにくくなっている
AIに「適合度」を出させると、3社に1社超が満点に集中する"100点病"。スコアがインフレし、候補者の優先順位づけに使いにくくなる。

決定的なのは、その少し下の点数がほとんどいないことです。90〜99点はわずか3件。なのに、100点だけに504件が集まっている。これは、実力がきれいに100点へ収束したのではなく、AIが「良さそう」と思った候補を軒並み満点にしている、という不自然な張り付きです。

スコアが100点に張り付くと、候補者に優劣がつけられなくなります。全員が満点なら、結局どこから声をかけるかは人の勘に逆戻りです。これは、AIに「0〜100点で評価して」と丸投げするとよく起きる現象で、基準(何点は何を意味するか)を細かく決めないと、AIは甘く、上に張り付いた点をつけがちになります。AIのスコアは"初期のふるい分け"には便利でも、鵜呑みにして順位づけの根拠にするのは危ない。この数字は、そのことを生々しく示しています。


事実3:AIは「合格」と言いながら、自分の判断に自信がない

最後は、AIに書類の選考判定(通す/見送る)をやらせたデータです。判定と一緒に「その判断への確信度(0〜100点)」も出させていました。AIが実際に合否を出した84件を見ると、こうでした。

AIの選考判定の"確信度"(100点満点・判定済み84件) 自信あり(70点〜) 中央値 35点 070100 「自信あり」と言える70点以上は、わずか9.5%(8/84件)。半分以上は確信度35点以下。
AIは判定は出すが、その確信度の中央値はわずか35点。自信をもって「これは合格/不合格」と言えた判定は全体の9.5%しかない。

「AIが採用の合否を自信満々に決めてしまう」というイメージがありますが、少なくともこのデータでは逆でした。AIは判定こそ出すものの、その多くは"確信度35点以下"の弱気な判断で、自信をもって言い切れたのは1割にも届きません。

これは、悪いニュースではありません。「AIに最終判断をさせてはいけない。AIは"下ごしらえ"に使い、決めるのは人間」という原則が、数字で裏づけられたということです。AIに任せるべきは、大量の候補を捌く一次処理まで。合否の最終判断と、候補者の口説きは、人が担う。この線引きが正しいと、AI自身の"自信のなさ"が教えてくれています。


まとめ:データを見ないと、人は「通説」に従ってしまう

今回の3つの発見に、特別な魔法はありません。ただ、自社の選考データを1件残らず数えただけです。それだけで、「書類選考が壁だ」「AIは優秀で自信満々だ」という思い込みが、次々に崩れました。

  • 最大の漏れ口は書類選考ではなくカジュアル面談(脱落率76.5%)。ここを"口説きの場"に変える。
  • AIの適合度スコアは満点に張り付く(37.1%)。鵜呑みにせず、初期のふるい分けに留める。
  • AIの判定は確信度が低い(中央値35点)。最終判断と口説きは人がやる。

採用は、勘と経験だけで回すと、いつのまにか"通説"に最適化してしまいます。自社の数字を正面から見ること――それが、他社と差をつける最初の一歩です。

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HYREDは、戦略の立案から、AIの実装・運用(自社開発のAI「Plexa」)、日々の採用オペレーション、成果のモニタリングまで、採用のすべてを一気通貫で引き受けるRPO(採用代行)です。今回のような「自社データの分析」から、どの段階で候補者が抜けているか、AIを何に使うべきかまで、まるごと設計します。まずは無料の診断・相談から。貴社のファネルを、一緒に一枚の図にします。

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